はじめに
子宮体がんは子宮がん全体の40%を占めています。1970年代は子宮がん全体の10%でした。また欧米では子宮がん全体の50%か、それをこす状態になっているのではないかと考えられています。
さらに最近問題になているのは、若い女性にも子宮体がんが増えてきた事です。
これらの原因には、いろいろな事が考えらています。
①欧米型の食事が関係している。(乳がんや大腸がんが増えているのも、その為とも考えられています)
②環境ホルモンやダイオキシン等の社会的な環境が関係しているという説もあります。
③晩婚や、少子化が関係している等という考えもあります。
一方で子宮体がんに関する関心が高くなった事から、検診を受ける人が増えてきたという側面があります。
しかし、まずは検診をうけなければ意味がありません。
子宮体がんに関しても、積極的に検診をうける事をおすすめします。
子宮体がんの検診方法
子宮体がんの検診方法は幾つかあります。
1.超音波検査
2.細胞診検査
3.子宮内膜組織検査
4.子宮内視鏡検査(子宮鏡検査)
実際には2と3がメインの検査になります。
1.超音波検査
不正出血など、何らかの異常症状があって婦人科を受診する事が多いため、まず超音波検査をうける事が殆どです。
その際、子宮内膜(超音波で子宮の真ん中付近で白く見える所)が、異常に厚かったり、形がおかしかったりすると注意が必要な時があります。
しかし、子宮内膜は当然月経周期によって厚くなったり、薄くなったりします。
子宮内膜について、何らかの検査をした方が良いという目安にはなりますが、この状態だけで異常を推定する事は困難な事が多いようです。
2.細胞診検査
子宮の中に検査の器具を入れて、子宮の内面の細胞をとり顕微鏡で検査を行うものです。
子宮の中にブラシのついた検査器具などを入れ、表面の細胞の検査をします。
細胞診の結果は次のように出ます。
医学的には子宮体がんの検査結果は子宮頚がんと異なり、クラス分類では出ないのが普通ですが、説明するには便利ですので、この分類が使われる事が多いようです。
クラス分類
Ⅰ | 異常ありません | 全く異常な細胞が出ていません。 | |
Ⅱ | 基本的には異常がないのですが、ホルモンバランスのくずれがあったり、避妊リングが入っていたりすると、時にやや活発な活動を示す細胞が出る時があります。将来癌細胞にかわる訳ではありませんが、念のため6ヶ月後の再検査をすすめられる事が多いようです。 | ||
Ⅲ | Ⅲa | 気をつけて | 現在がんが疑われる細胞ではありませんが、良性細胞と言い切れないもの。ホルモンバランスのくずれがやや強く、放置しておくと不正出血の原因になり得るような細胞が出ているような状態を言います。定期的な検診や、この時点で子宮内膜の組織検査をすすめられる時があります。組織検査でいう子宮内膜増殖症が出るような状態が考えられます。 |
Ⅲb | Ⅲaに比べやや細胞の形に異型性が出るものを言います。がん細胞とは考えられませんが、子宮内の組織検査をうける事が望ましいと考えられます。また定期的なチェックが必要となります。組織的には子宮内膜異型増殖症が疑われるような細胞です。 | ||
Ⅳ | がんの疑いあるいはがんと考えられる | 初期のがんが疑われます。 | |
ⅴ | 進行したがんが疑われる状態です。 |
3.子宮内膜組織検査
子宮の内側(内膣といいます)の組織を切り取ってくるものです。
切り取り方によっては痛みがあるため、麻酔をかけて検査をすすめられる時もあります。
これらについては担当医からお話があるのが普通です。
結果はだいたい、次の通り出てきます。
■異常なし
■子宮内膜増殖症
①単純型
子宮内膜増殖症 / 異型子宮内膜増殖症
②複雑型
子宮内膜増殖症 / 異型子宮内膜増殖症
※①と②は顕微鏡で見た子宮内膜症の型で診断されます。
※これにそれぞれ異常度が強いと、異型という名称がつきます。
※このうち、単純型の異型子宮内膜症は将来 約 10% 弱で子宮体がんになる可能性
複雑型の異型子宮内膜症は将来 約 30%の確立で子宮体がんになる可能性があるとされています。
■子宮体がん
4.子宮内視鏡検査(子宮鏡検査)
子宮の中、子宮体がんができやすいところを内視鏡で見る検査法です。
子宮内膜組織検査で同じ検査効果があるとも言われています。
子宮体がんになり易いタイプ
どうやら子宮体がんになり易いタイプをいう人がいる様です。
1.妊娠・分娩の経験がない人
2.授乳経験がない人
3.高血圧・糖尿病、肥満のある人
4.肥満のある人で閉経が早い人
子宮内膜増殖症や子宮体がんと言われたら
担当の先生と詳しくお話する事が大切です。
症状に応じて、経過をみるだけ、ホルモン療法を受けたほうが良い時、手術が必要な時さまざまです。
※レディースケアネット(当院は監修しているサポートクリニックの1つです)婦人科の病気:子宮がんも参考にされると良いでしょう。